ガラスの使い方

火曜日, 4月 20, 2010 @ 05:04 PM
Author: admin

ガラスの使い方
ガラスが破損した場合には思わぬ大きな事故につながることがあります。こうしたガラスの破損による事故を未然に防ぐことはもちろんのこと、また
万一事故が起きた場合には被害を最小限に抑えることが大切であることは言うまでもありません。ガラスの設計、施工にたずさわる方々をはじめとして、
ガラスの販売にたずさわる方々にもガラスの特性をよく知っていただき、特に留意していただきたい項目を以下の通りまとめております。万全の体制で事故の防止に
努めていただきますようお願い申し上げます。
■次のガラスをご使用になる場合は、特にご注意ください。
強化ガラス
 強化ガラスは、一部に破損が起こると応力のバランスがくずれて瞬間に全面破砕します。これにより、ガラスが脱落して、開口部が開放状態となることがあります。

 また、ガラス表面の傷やごくまれにガラス中の引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力が加わっていない状態で不意に破損することがあります。強化ガラスの性質を十分ご理解の上、使用部位をご決定ください。また、必要に応じ、合わせガラス加工・飛散防止フィルム貼付等の飛散防止処理を講じてご使用ください。
網入・線入板ガラス
 網入・線入板ガラスをご使用になる場合、例えば、端部を露出して使用したり、排水機構が機能しないなどの理由によって、雨水等がガラス端部に滞留すると、端部部分の線材を錆びさせ、その体積膨張によってガラス端部付近に微少なクラック(ひび割れ)を生じさせることがあります。このクラックは、熱割れの原因になります。網入・線入板ガラスのご使用にあたっては、サッシの排水機構など納まりについて十分ご検討ください。
複層ガラス・合わせガラス・防犯ガラス
 複層ガラス・合わせガラス・防犯ガラスをご使用になる場合には、はめ込み枠に雨水が侵入したり、水分が滞留することにより品質が低下するのを防止するため、防水性、排水性が確保できる納まりとしてください。またガラス小口を露出するような納まりはお避けください。



・複層ガラス・・・封着材が老化し、内部結露(中空層内での結露)の原因となります。

・合わせガラス、防犯ガラス・・・中間膜が老化し、剥離や「シミ」の原因となります。
鏡・ガラス壁装材
 鏡、カラーガラス、ナチュラルデザインガラスなどの鏡・壁装材はガラス製品であるため、衝突などにより割れることがあります。性質を十分にご理解の上、使用部位を決定してください。天井部位については、接着押さえ金具方式で施工を行い、さらに飛散防止フィルムの貼付などの安全対策を講じてください。

 また、これらの商品の一部は、内装専用となっております。外装使用した場合には、日射によって変色・退色・剥離・熱割れなどの品質の低下を生じることもございます。内装に使用される場合も、なるべく直射日光のあたる部分へのご使用はお避けください。

 特に鏡は、高温多湿環境下でのご使用はお避けください。鏡の性質上、化学薬品(トイレ・タイル用洗剤、住まい用洗剤、漂白剤、有機溶剤、化粧品などで特に塩素系、塩酸系、アンモニア系のものなど)が鏡に付着すると塗料、銀膜面が腐食し、映像が得られなくなりますので化学薬品が鏡の裏面に付着しないようにご注意ください。
■ガラスの強度に関するご注意
窓や外部ドアなど風圧を受ける部位
 台風や強風などによるガラスの破損を防止するため、耐風圧強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さ、面積を選定してください。
住宅、学校、公共施設の玄関ホールなど、

人体または飛来物による破損が予想される部位
 衝突によるガラスの破損から、被害を防止するため、対衝撃強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さを選定してください。「所定の衝突力に対して割れないガラス」もしくは「割れても安全なガラス(合わせガラス・強化ガラス)」を選定してください。
トップライトや勾配付きの窓など、

垂直以外の角度でガラスを使用される場合
①風圧、積雪荷重、ガラス自重の組合わせによりガラスが破損する場合がありますので、破損・脱落を防止するために、使用条件に応じた強度検討を実施の上、ガラス品種・呼び厚さ、面積を選定してください。万一破損した場合のガラス破片落下による大きな事故を防止するため、合わせガラス・網入りガラスの使用など、落下防止措置を必ず講じてください。


②通常人体による集中荷重に対する強度検討はされておりませんので、ガラスの上には絶対乗らないで下さい。
■その他のご注意
水掛かり部分にガラスをご使用になる場合
 噴水、浴室、冷却塔周辺など、ガラス表面で水分の濡れと乾燥が繰り返されるような部位に使用しますと、ガラスからの溶出成分と空気中の炭酸ガスが反応固着するなどして、ガラス表面を白濁させてしまいます。固着物を取り除く為には、表面を機械的に研磨するしか方法はなく、状況によっては取れなくなる場合もあります。
■熱割れに関するご注意
以下のような状況でのご使用は熱割れの原因となりますのでご注意ください。
①室内側のガラス面にカーテン、ブラインド、家具などを密着させないでください。カーテンなどとガラスとの間隔は100mm以上離してください。

②ガラス面にペンキを塗ったり、紙を貼ったりしないでください。

③空調装置の吹き出しエアーが、直接ガラス面に当らないようにしてください。

④ストーブ、湯沸し器、コンロ、照明家具などからの熱がガラス面に当らないようにしてください。

⑤ガラス面に日射調整フィルムや装飾カラーフィルムを貼る場合は事前に熱割れの検討を行ってください。
■耐震性に関するご注意
 地震によって建物に変形(層間変位)が起こると窓枠が変形し、ガラスが破損することがあります。こうした地震時のガラスの破損を防止するために、サッシとガラスのクリアランスを十分に確保してください。はめ込み枠とガラスの隙間によって変形を吸収して、ガラスの破損を防ぎます。硬化性パテを用いますと、はめ込み枠とガラスの変形が拘束され破損の原因となりますので、使用しないでください。弾性シーリング材をご使用されることをおすすめします。ガラスは防災ガラス(合わせガラス)をお勧めします。